敷地は、約90年前から存在する歴史ある商店街のほど近くにあり、便利で閑静な立地です。そこへ、お子さんたちが独立なさったご夫婦と小さな犬2匹のための住まい兼事務所を設計させて頂きました。
1階(正面左側)にご主人の事務所があり、顔となる1階ファサード部分は、構造を工夫することで耐震等級3の強度を持たせながら、余計な柱や袖壁を配置せずにすっきりと見せています。 住宅部分の玄関(正面右側)から内部に入ると、白の鉄骨階段が目に入ります。踏板､手摺は12mm厚の鉄で造作し、軽やかで明るい仕上がりとしました。階段の頭上には2階天井に設けた天窓からの光が落ちてきます。
2階のLDKも同じく構造的な工夫により、天井高さ3ｍ、27畳の広々とした明るい大開口を持つ空間を実現しています。そのLDKの空間には一方で、重みを感じさせ重心を低くするような安心感を持たせる要素も欲しかったので、キッチンを囲むL字の壁は厚みのある左官仕上げとし手触りと素材感を付加しました。フローリングは浮造りのものを採用し、犬が滑りにくいよう配慮しています。LDKに面するバルコニーへは、床が同じ高さでフラットにつながり、その視線の先の手すりは床から強化ガラスのみが立ち上がっているように美しく仕立て、外観のアクセントにもなっています。